林田クリニック
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平成24年5月より第3週のみ診療
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刺し爪のコーナー

爪に変形を生じて歩く時激しい痛みを伴う病気です。

刺し爪の横の部分が爪の下の組織に食い込んで、爪の一部がトゲのようになった状態をいいます。

この爪が組織を傷つけばい菌の入る原因になります。巻き爪は爪が横向きに曲がって肉に食い込んでいる状態をいいます。
この二つの病気は手に生じることはなく足に起こります。その原因は後で述べますが陥入爪は幼児から高齢者までどの年齢でも発生します。成人の10人に1人の割合で生じるとも言われています。
この病気で悩んでいる方はどの科に受信してよいか迷われる方が多いと思われます。

大体、外科、整形外科、皮膚科、生成外科でこの病気に関心を持っている先生が治療にあたっています。

刺し爪、巻き爪の原因

先の細い靴を履くこと、深爪をする事、指の傷などでおこります。

先の細い靴、特に女性はハイヒールを履くので男性に比べるとおこりやすく又、太っている方もなりやすいです。

先の細い靴を履くと爪に圧力が加わり皮膚に食い込んでいきます。そうすると指が腫れて、これも爪が皮膚に食い込む原因になります。しかし、直接の原因は深爪です。日頃から靴下などが破れないようにこまめに爪の縁を丸く切る人におこります。

又、陥入爪になっている人は痛めた爪の縁を切って深爪をしています。深爪ををすると歩く時に体重がすべて足、特に拇にかかりその圧力で爪の縁の組織が盛り上がって爪を下に押し込み組織に食い込んでいきます。

このような原因から一度、刺し爪になると痛いため爪の縁を切って深爪します。そうすると痛みは一時的になくなるのですが、爪の切り取られた部分の組織は圧迫がなくなったために盛り上がり爪をさらに食い込ませようとする。この悪循環を繰り返しているうちに炎症が起こります。
炎症が起きて腫れると治療しないと足の指に広範囲で広がり爪を抜かないといけなくなります。


刺し爪の進み具合

刺し爪にも色々な状況があります。

  1. 軽度なものは足の指の先端の縁が赤く腫れて痛みを生じます。
  2. 中等度のものは足の指の先端の縁の腫れがひどくなり濃が出て、だまっていても痛みが持続します。
  3. 高度のものは足の指の縁に肉芽という野いちご状の赤いしこりができます。こうなりますと食い込んだ爪の先端が鋭いとげの様になっていて激痛が持続します。

始めの軽度のうちに処置しないと痛い為深爪をする。前にも述べたように、この痛みの原因になっている
深爪をとめられなくなるので、どんどん炎症が進んでいくことになります。一度でも痛みが生じたら進行
させないように根本的に治すことを心掛けて下さい。


刺し爪、巻き爪の治療法

食い込んだ爪のトゲをどのようにして取るか、また2度と爪のトゲが出来ないようにするのかが治療の根本となります。

刺し爪や巻き爪がやっかいなのは、重症になったら決定的な治療法がなかったのですが、最近ではワイヤーや特殊な合金プレートで治す器具の発達がみられ、患者さんにとっては大変な福音となっております。


私が現在行っている治療法についてお話をします。



1 チューブ管導入法

この方法は爪のトゲや食い込みによってばい菌が入って、炎症が一番強い時期で赤いイチゴ状にはれ上がった肉の塊(肉芽)が形成される時に炎症症状を軽快させる為に行う治療法です。

指の根元に麻酔をかけて爪のトゲや爪の食い込みを剥がした後にチューブを挿入して、爪が再度食い込まないように壁を作ってやる方法です。

腫れや赤みが止まるまで2週間〜1ヶ月チューブを入れておきます。手術後すぐに歩行できますし入浴も可能です。

ただ、この方法は急性の症状を取る治療法なので、将来爪が食い込んだり巻き爪になる事を予防できないので、この治療中又は、後日ワイヤー方法を行わなくてはいけません。

来院日
手術後2〜3日したら来院し、その後1〜2週間に一度。腫れや赤みがなくなるまで約1ヶ月来院していただきます。


2 超弾性ワイヤー法

これは刺し爪と巻き爪に有効です。
麻酔梨で爪の先端2ヶ所に穴をあけて、その中に特殊なニッケルチタン合金で出来たワイヤーを通してワイヤーの弾力を利用して徐々に巻いている爪を広げていきます。この操作の所要時間は10分です。すぐに歩行、翌日より入浴可能です。

2〜3ヶ月に1度ワイヤーを取り替えて大体4〜6ヶ月で治療終了します。

この方法は麻酔なしで非常に簡単な方法で有効なのですが、指の先端まで爪が伸びてこないと爪に穴をあけられないという欠点があり、炎症があり急性症状が強い場合は有効ではありません。

注射針を指で回転しながら下から上に向かって、斜めに穴を2個開けます。








下から上に超弾性ワイヤーを通してます。




折り返して、残りの穴に通します




超弾性ワイヤーを前に曲げてから、ニッパーで切ります。ワイヤーの端が爪縁から出ないように短めに切ります。切った瞬間にワイヤーは爪の下に入ります。


来院日
手術翌日来院いただき、その後は2週間に1度位でよいと思います。


3 インベントワイヤー法

この方法は複雑な操作を必要としますので20分〜30分掛かります。
麻酔はしません。爪を短く切っている方や指の中間に痛みのある方に行います。
大体2〜3ヵ月で治療は終了致します。
術後すぐ歩行・入浴可能で日常生活の制限はありません。

来院日
手術1〜2週間後に受診していただきます。


4 人工爪作製法

この治療法は刺し爪の軽度のものから高度のものまで対応出来ます。しかし巻き爪には不向きです。足の指に麻酔してから、食い込んでいる爪を表に露出して、その起こした爪の下から特殊なマニキュアを使用して人工爪をもとの爪の上に作り、入り込んだ爪が指の先端まで伸びるまで1〜2ヶ月カバーしておきます。
人工爪を作るのに40分位かかりますが、爪を抜く訳ではないのですぐに普通に歩けますし、翌日より入浴可能で日常生活を全くせいげんすることはありません。急性期の症状には有効です。
あまり行う事はないです。


5 形状記憶合金プレート法

この方法は子供さんや、爪が巻いてなく爪が全体に落ち込んで炎症をおこしている症例には良い方法です。

麻酔なしで爪の根本の所に軟らかい特殊な合金を接着剤で貼り付け、合金プレートのバネを利用して治す方法です。
処置は3分で出来ます。この方法を用いて爪が指の先端まで伸びてきたら、超弾性ワイヤーを使用して爪を広げます。

治療して4〜6ヶ月かかります。この治療法の欠点は合金プレートが剥がれやすいのと、毎日ヘアドライヤーでバネを温めてバネの力を元に戻してやる操作が必要なのと、ワイヤーより高価な点です。ワイヤーと違い何回でも使用できます。
あまり行う事はないです。

6 フェノール焼灼法

これは爪の先端ではなく、根本にばい菌が入ってなかなか治らない時に爪の一部を縦に切って爪の根本をフェノールという薬品で焼いて再び爪が生えてこないようにする処置です。
あまり行う事はないです。

7 抜爪

長い経過で炎症範囲が指の先端、広範囲にあるひどい時に最後の手段として爪をすべて抜きます。3〜6ヶ月で爪は再び生えてきます。


以上私の現在行っている陥入爪、巻き爪の治療法です。最近は手術方法により1〜3まで説明した爪矯正治療法が主流をなしています。